最新の低線膨張のデータ

サーモンピンクの銅めっき色が出現した低線膨張銅めっき

1は低線膨張銅めっきを30μm付けた銅めっきの外観である。本来の銅めっき色のサーモンピンクである。

2はその電子顕微鏡写真である。aは表面から見た写真である。数μmの角ばった結晶が成長している。この結晶は非常に密である。bは断面から見た写真である。断面にも欠陥がなく非常に密である。

3は引っ張り試験結果である。引っ張り強度が162と高く、伸びが1.0%である。伸びのさらなる向上は今後の課題である。

加熱繰り返しても低線膨張維持

微小めっき研究所は、パワーデバイス 、プリント基板など電子デバイス製造メーカーの銅めっき配線工程におけるニーズに対応するため、繰り返しの熱処理において、低線膨張特性を発揮する銅めっきの開発に成功しました。従来の銅めっきの線膨張係数を1/3に減らすことが可能となります。この発明により、シリコンウエハやビルドアッププリント配線板の熱応力による基板の反りを低減し、製品の歩留まり向上、信頼性向上に寄与するものと考えております。

※ 本研究成果は、2020年1月22日付 日刊工業新聞に掲載されました。

横軸が温度、縦軸が膨張長さである。線膨張係数は傾きであり、従来銅は18×10-6/Kである。
我々は、繰り返しの加熱にも関わらず低線膨張係数を発揮する銅めっきを発見した。
2回予備加熱後、6×10-6/Kと3回、従来銅の1/3の線膨張係数となった。

-40℃から200℃の200回ヒートサイクルの結果を示す。50サイクル毎に銅めっきを取り出して、線膨張係数を測定した。
50,100,150回目のサイクルで取り出した銅めっきの線膨張係数はほぼ同じ挙動である。
200回目のサイクルでは、線膨張係数がさらに低下した。